スイス大学院留学ブログ - Study in Geneva

ジュネーブでの大学院生活について綴るブログです。

【大学院留学】出願書類の準備方法(SoP編)

今回は海外大学院出願で最も重要と言っても過言ではない Statement of Purpose (SoP、志望動機書) について。
おそらく出願経験者であれば、誰しも一番思い入れのあるプロセスだと思います。

なぜSoPが重要かといえば、出願書類の中でも大学院の選考委員に「なぜ(他の受験者よりも)自分を選ぶべきなのか」を一番アピールできる手段がSoPだからです。他の出願書類(成績表やCV)では過去の経歴をアピールする以上のことはできませんが、SoPは自由度が高く、自分がその大学院で学びたいという意志をロジカルかつ情熱的に伝えることのできる唯一の場です。成績や経歴で受験者のレベルに大差がなければ、合否を分けるのはSoPと推薦状になるため、その重要性は明白でしょう。

私は参考書を見ながらドラフトし、無料・有料のネイティブ添削を挟みながら、SoPの作成に2ヶ月を要しました。時間に余裕のある方であれば1ヶ月程度での作成も可能だと思いますが、ドラフトしては書き直し、レビューを受けては書き直し、という作業になるため、満足いく内容に仕上げるのに最低1ヶ月はかかると思います。執筆のプロセスは楽ではありませんが、自分の溢れる思いを凝縮させたSoPが完成したときの達成感と喜びは、海外大学院出願を最後までやり切る原動力になります。

以下はあくまで私のやり方なので、一部でも参考になれば幸いです。
※一応出願した3校中2校は合格したので、的はずれなやり方ではないはずです!

STEP1: まずはお手本に沢山触れることから 

Statement of Purpose (以下SoP) とは日本語でいう志望動機書です。Purpose StatementやMotivation Letterとも呼ばれ、どの国の大学院に出願するとしても、基本的に求められます。学校によって、内容について細かい指示があったり全くなかったりしますが、端的に言えば「なぜ(他ではなく)その大学院のそのコースで学びたいのか」を述べるためのものです。

そんな必須書類のSoPですが、さあ書こうと思っても、そもそもどういうものなのか分からないのが普通です。書くにあたって有料の出願エッセイサポートを受けるという選択肢もありますが、相場として5万円は下らないため、あまりお金をかけたくない場合は自力でどうにかするしかありません。

そこで私が実際にやったのは、ありきたりですが参考書を買ってエッセイサンプルを沢山読み込んで、参考になる構成や表現をメモしていくというやり方です。(注:一部でも絶対にコピペはいけません)具体的には以下の手順で取り組みました。

  1. 出願エッセイの参考書を購入し、書くべき内容を理解する
  2. 参考書にある社会科学系志望のSoPを一つずつ読んでいく
  3. 読みながら、自分のエッセイに使えそうな構成や表現が出てきたらマークしていく(読んでいると自分にしっくりくる、あるいは似たようなバックグラウンドの人のエッセイがあるものです)
  4. 気に入った構成のエッセイについて、ノートの左半分に各段落の要旨をメモし、右半分に自分の場合何を書くかブレストしていく

参考書としてお世話になったのは以下の2冊です。

合格留学入試エッセー実例集

Graduate Admissions Essays

アルクの方はかなり古く中古品しかなかったと思います。洋書はAmazonで取り寄せました。

前者は英語のレベル的に「これでいいの?」というエッセイが多いので、構成はまだしも表現を参考にすることはなかったですが、冒頭に出願エッセイとは何たるかという説明が日本語で書かれていて役立ちました。同書によれば、出願エッセイとは問題意識・研究計画・キャリア目標の3点を伝えるものであり、構成(順序)もその人の状況に応じて変えられます。私の場合は最終的に問題意識→キャリア目標→研究計画という順番で書きました。

後者は洋書なだけあって説明を読むのには時間がかかりましたが、推薦状作成も含めて実践的なアドバイスが豊富で、エッセイサンプルも読んでで面白いものが多いです。前者に比べて社会科学系のSoPが少なめなのがマイナスポイントですが、ネイティブレベルの洗練された表現が沢山ありますし、どうやって自分のエッセイを尖らせる(stand out from the crowd)のかという観点で大いに参考になりました。また、推薦状のサンプルも10点ほどあり、こちらにもかなり助けられました。

 

STEP2: 時間をかけて自分の言葉で紡ぎ出す

出願エッセイがどういうものか理解したあとの④から先の進め方は、正直なところ十人十色だと思います。経験者に聞いたら、おそらく全員異なる答えが返ってくるでしょう。

私は構成と各段落のポイントを固めてからドラフトしたいタイプなので、④の段階では日本語で構成&ポイントを何パターンか書き出して、一番気に入ったものをもとに英語でのドラフトに着手しました。あとはもう自分の心から出てくる言葉を書き起こしていく作業です。きれいに整えたり、余計なものを削ったりするのは一旦置いておいて、とにかく思いついたがまま書いていきます。

個人的にはここで変に取り繕うことなく、自分の過去・現在・未来について実直に述べることが、SoPのオリジナリティに繋がると思います。私の場合は幼少期の体験が原点なので、エッセイ冒頭は幼少期〜大学にかけてなぜ開発課題に関心を持つようになったのかを書きました。少し回顧録のようで出願エッセイには余計かなと思いましたが、ネイティブチェックで評価されたので、他の人にはない自分だけのストーリーを堂々と盛り込むことがポイントです。

ファーストドラフトを書き上げたら、半日以上時間を空けて読み直します。そうすると多かれ少なかれイマイチだなと思う部分があるので、書き直しに入ります。このとき、ファーストドラフトで指定の字数をオーバーしているようであれば、何を削るかという観点も持ちつつリライトします。私の場合は第一志望校の指定が最大800ワードで、最初のドラフト時点では1000ワードを超えていたので、各所削りながら書き直しました。

セカンドドラフトのあとも同様に少し時間を置いて読んでみて、若干の修正を入れるなり一部リライトするなりします。この「書いて読んで書き直す」という作業をどこまで繰り返すかは人それぞれですが、自分の中で80−90点くらいの完成度になったら、ネイティブの助けを借りながら仕上げに取り掛かる方が時間を無駄にしなくて済むと思います。

 

STEP3: 仕上げには必ずネイティブチェック

自分なりにエッセイを書き上げたら、最終ステップとしてネイティブチェックをかけます。英語ネイティブという方でない限り、これはマストステップです。どれだけ内容が優れていても、エッセイはライティングスキルそのものを見られる場でもあるので、小さなミスや不自然な表現がないようにする必要があります。

誰に依頼するかは本人の置かれている環境によりますが、ネイティブ話者の中でもライティングの得意不得意はあるので、誰に頼んでも効果的という訳ではありません。もちろん最低限のケアレスミスは直してもらえますが、構成や表現まで見てもらいたいのであれば、日頃から仕事でアカデミックライティングをしている人や教育関係でライティングレビューをする側にいる人に依頼することをおすすめします。

私は出願時には大学を卒業していたので、大学の英語の先生に頼るという選択肢はなく、以下の3人のネイティブに添削を依頼しました。

  • 中高時代の英語の先生(アメリカ人)
  • 大学で研究員をしているイギリス人の友人
  • EssayEdge(有料エッセイ添削サービス)のエディター

英語ネイティブと言っても国・地域があるので、ヨーロッパの大学院への出願であればイギリス人、アメリカの大学院への出願であればアメリカ人のチェックを受けるのがベストです(これはCVも同様です)。単語のスペルや表現に多少の違いがあるので、出願する大学院がある国・地域の英語のスタンダードに合わせる必要があります。

3人目のEssayEdgeについては当初利用するつもりがなかったのですが、上2人からの内容へのダメ出しが少なくて不安になったため、正直高かったですが一度利用することにしました。当時は「ここでケチって不合格になるよりは奮発して合格したい」という、おそらく誰しもが陥る心理的状況でした(笑)

結論としては利用してよかったです。さすが有料サービスなだけあって、アドバイスが丁寧で充実していました。私の場合、大幅に添削された箇所はありませんでしたが、表現や構文の細かい修正や構成へのアドバイス(anecdoteから始めた方がよい、など)をもらい、エッセイを仕上げることができました。完成形を100点とすると、上2人に80点を90点に、EssayEdgeに90点を100点にしてもらった感じです。今思えば、もっと早い段階でEssayEdgeを使えばよかったかも。

ネイティブチェックは最低2人、できれば3人に見てもらうと安心だと思います。1人でも問題はないですが、その人がどれだけ丁寧に見てくれるかは分からないので、セカンドオピニオンを他の人からもらう方がベターです。また、CVのネイティブチェックも同じ人に依頼することが多いと思いますが、その場合は同じ時期までにCVも完成させて一緒に渡すべきなので、計画的に進めることが大事です。

 

以上、またまた長くなってしまいましたが、SoPについて書いてみました。
こんな内容で響くんだろうか、という不安は誰しも尽きないので、とにかく後悔のないように自分の意志を伝えることが重要だと思います。
そのためにも焦らず時間をかけて、自分にとってベストなSoPを完成させましょう!